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『水産の未来を支える』久米島漁協

『水産の未来を支える』久米島漁協

久米島漁協は島の水産業を支えている組織。

一番の仕事は組合員、漁師さんのサポート。そのために、もずく加工所、水産加工施設の運営や漁に必要な器具の購買事業、保険事業、無線事業、セリ市の運営など、実に多種多様な業務をしています。

 

そんな久米島漁協を作ってきた一人ともいえる、宮里真次(みやざと・しんじ)さん。沖縄水産高等学校を卒業して以来ずっと、久米島漁協で勤務してきたそうです。

「来たときは本当に何もなかった。そこから思っていたことがどんどん実現していった。仕事だから嫌なこともあるけど楽しかったね。」

 

宮里さんが最初に行ったのがセリの開設。国頭漁協で行っていたのを見習い始めたそうです。その後もパヤオという人工漁礁を作ったり、集魚灯などの漁法の開発をしたり、久米島の漁業の発展のために様々なものを作り上げてきました。

 

座右の銘は『知恵泉』。「人間は知恵があるから人間。その知恵は泉のように湧き出してくるものだ。」そんな想いが込められているそうです。

久米島漁協に掲示されている仕事の心得には、宮里さんのこだわりがつづられていました。

『事業の成功は100人の凡人の力ではなく、1人の優秀な変人によってなされる場合がほとんどである。』など、「なるほど!」と思わずうなづきたくなる至言がたくさんです。

 

宮里さんが考える、これから久米島の水産業を伸ばす上で重要なことは戦略品目を徹底的に伸ばすこと。

 

「1次産業の中で勝てる商品、戦略になるような商品は決まっているからそこを伸ばすことが重要。水産だったら、車海老、海ブドウ、もずく、マグロ、アーサーなど。」

車海老と海ブドウはすでに生産量で全国1位。もずくも全国3位の生産量を誇ります。

また、車海老、海ブドウ、もずくはその質の高さも評価されています。

 

宮里さんが危惧することは人口減少に伴う、地域の衰退。それを阻止するためにも、久米島の水産物は重要な存在だと言います。

 

「島の産業を伸ばして、人口を維持しなければならない。しかし、島内でパイの取り合いをすると人口減につながる。その点、漁協は戦略品目を売ることで外貨を稼ぐことが出来る。」

 

戦略品目の中でも売り上げの大部分を占めるのが、久米島産車海老。年間の売り上げは10億円にも上り、漁業全体の7~8割にもなるそう。しかし、それでもまだ数が少ないと言います。

 

「車海老は現在200トン~300トンくらい出荷している。一匹平均20グラムなので、約1千万匹。十分多いかと思うかもしれないが、沖縄県に来た観光客は950万。みんなに一匹とちょっとしか食べてもらえない。養殖場を増やして、もっとたくさん生産できるようにしたい。また、現在は沖縄県がこれだけエビを生産しているということの知名度がない。こちらから送って食べてもらうのではなく、車海老を食べに来てもらえるようにしたい。」

 

島に来て食べてもらうのではなく、島で食べるために来てもらう、生産量が拡大した将来、そんな観光のあり方が実現しているのかもしれません。

 

水産加工所で働く田村圭介(たむら・けいすけ)さん。奥さんが久米島出身で2011年にご家族で移住されたそうです。

「漁業全体を支える、その一環として働けているということ。水産業って幅広いですからね。従事者もどんどん増えているから。久米島の水産は非常に未来がある職種だと思います。」

 

海洋深層水の技術ともうまく絡み合い、ますます発展を続ける久米島の水産業。その発展を支えている縁の下の力持ち、そんな組織が久米島漁協です。

インタビュー:岡本耕平